映画・テレビ

2022年2月 3日 (木)

『大怪獣のあとしまつ』 リアル?版

Kaiju  いらすとや

映画館で、『大怪獣のあとしまつ』と言う映画の予告編を見ました。私も昔からチラッとは気になっていた事ですが、それを実際に映画として描いてしまうのは大したものだと思います。

予告編を見る限り、怪獣の死体処理には利活用や利権まで絡んでドロドロとしたものに描かれているようですが、では今、日本に怪獣が現れたら、その死体はどのように処理されるのだろう? と言う事で、現行の法令や制度を調べてみると、以下のようになりました。

 

怪獣の死体は廃棄物か?

怪獣を、生命活動を行う、広義の動物の一種とすると、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)第二条第1項により、動物の死体は「廃棄物」とされますので、恐らく怪獣も廃棄物として扱われるものと思います

 

一般廃棄物か、産業廃棄物か?

次に同法により、廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けられます。

廃棄物処理法第二条第4項及び同法施行令第二条によると、動物の死体は産業廃棄物ともなり得ますが、それは「畜産農業に係るものに限る。」とされていますので、怪獣の死体は一般廃棄物に該当する事になります。

 

誰の責任で処理するのか?

一般廃棄物は市町村の区域内での処理を原則とし、市町村に統括的処理責任がありますので(廃棄物処理法第六条の二)、怪獣が正義のヒーローや自衛隊などによってやっつけられ、死体となったその場所の市町村が、処理(収集・運搬・処分)の責任を負う事になります。

但し怪獣はあまりにもデカいので、そのままではゴミ処理工場まで運搬し、焼却炉に投入する事ができません。少なくともトラックに積める程度にまで解体しなければなりませんが、その様な作業を請け負う民間業者があるとも思えません。結局は陸上自衛隊が災害出動で動員されて解体作業を行い、その後を市町村が担当して処理する流れになるのではないでしょうか?

 

事業系一般廃棄物になる?

ここで注意すべきは、科学特捜隊、地球防衛軍、自衛隊などは、いずれも業務として怪獣と戦い、駆除を行っているわけで、その場合、怪獣の死体は廃棄物処理法第三条により「事業系一般廃棄物」と見なされ、事業者としての科学特捜隊などが、その処理の責任を負う可能性があります。

その場合、科学特捜隊などが自ら怪獣の死体の処理をできるとは思えませんから、なんとか解体までして、後は駆除場所の市町村の許可を受けた一般廃棄物収集運搬許可業者に、市町村のゴミ処理工場まで運んでもらう事になるでしょう。

もう一つ、怪獣が自然発生した野生ものなら良いですが、もし悪の組織が作り操っている怪獣の場合は、その死体はそれらの組織の事業活動により生じたものとなりますので、処理責任は悪の組織が負う事になります。但し、正しく処理をしてくれるとは思えませんので、最終的には市町村が代行して処理し、その費用を悪の組織に請求する事になるでしょう。まあ、払ってくれるとは思えませんが…

 

放射能を吐く怪獣は…

放射能を吐く怪獣の場合、当然死体には放射性物質が含まれます。放射性物質や、それによって汚染されたものは廃棄物処理法の適用対象を外れます(同法第二条第1項)

ではどのように処理されるのかと言うと、どうも自然発生した放射性廃棄物と言うのは法令上想定されていないようで、適用法令を見つける事ができていません。

 

怪人の場合

人間に近く、人格?を持つ怪人の場合、死体を廃棄物として扱って良いのかと言う問題があります。

もし人間に準じたものとする場合、その死体の処理には、廃棄物処理法ではなく「墓地、埋葬等に関する法律」が適用される事になりますが、もし所属不明の怪人の場合は、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」第七条により、死体が発見された市町村が、その埋火葬を行う事になるはずです。

 

なお、以上はあくまでもお遊びでの考察であり、私は法律や廃棄物処理の専門家ではないことをお断りしておきます。