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2023年3月

2023年3月25日 (土)

新潟国際アニメーション映画祭 (その5、観光・食べ歩き編)

映画祭で新潟に行くのなら、当然観光と食べ歩きです。

槌起銅器『玉川堂』

新潟に行こうと言う後押しになったのが、昨年から読んでいるマンガ『クプルムの花嫁』 金属加工などで有名な燕市の伝統工芸、槌起銅器の若い職人と、その彼女を主人公にした作品ですので、一度その作業の様子を見てみたいと思っていました。玉川堂さんは、その鎚起銅器の工房の一つで、作業風景を見学する事ができます。

燕市中心部の駐車場事情がよく分からないので、燕市産業資料館にレンタカーを置かせてもらって、歩く事30分弱。明治時代からと言う木造の建物と、その前にある小さな庭があります。
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時間になって、店長さんの案内で工場に入ると、数人の職人さんたちが、樫の木を椅子や作業台として使って、鎚起銅器を打ち出しています。若い職人さんが多いので、聞いてみると、美大出身者を中心に、将来は独立する目標で仕事をしている人が多いそうです。他に、銅器に着色する工程なども見せていただきました。
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記念として、パートナーは花立てを、私はぐい呑みを購入。手作りなので、お値段はそれなりします。でも長く使えるものだそうです。
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燕市背脂ラーメン『大むら支店』

玉川堂を辞去した後は、ちょっと早いですが、昼食に燕市のご当地ラーメン。『クプルムの花嫁』でも紹介されていた『大むら支店』へ向かいます。道の入り組んだところにありますが、お星様が的確に道案内をしてくれるもので、迷わずたどり着く事ができました。
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燕市の背脂ラーメンは、工場の労働者が手軽に満腹感を得られるよう、太麺・濃いめのスープに背脂たっぷりのラーメン。チャーシュー麺を頼みましたが、太麺はほぼうどん。背脂もたっぷり載っていましたが、見た目によらずあっさり食べる事ができました。
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喫茶『ロンドン』

これも『クプルムの花嫁』で紹介されている店で、昔ながらの喫茶店。昼食の後はここでお茶!と思っていたのですが、なんと臨時休業。先の『玉川堂』で伺ったところでは、普段は11時半頃に店を開け、日付が変わる頃まで開店しているそうですが、2・3日前に救急車で、多分おばあさんが搬送されたとの事。
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ジュースなど飲んで、看板型のキーホルダーを買いたかったのですが、ご回復をお祈りすると共に、次回の楽しみとしましょう。
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燕市産業資料館

鎚起銅器をはじめ、燕市の産業を紹介する博物館。特に金属スプーンなどの展示が充実。

ちょうど 企画展「クプルムの花嫁のセカイ展」が開催されており、複製原画や、マンガで紹介された鎚起銅器などが紹介されていました。常設展でも、鎚起銅器の職人の紹介の中に、サラッとマンガの登場人物を紛れ込ませてありました。
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彌彦神社

パートナーの希望で、三条市内のパン屋さんでお茶した後は、彌彦神社へ。新潟と言えば、やっぱり平野のどころからでも見える弥彦山でしょう。

駐車場に車を置いて、深い木立の中にある本殿に参拝。本当は弥彦山にも登りたかったのですが、ドライブウェイは3月末まで冬季閉鎖、レンタカーの返却時間も迫ってきていたため、参拝だけで新潟市に戻りました。
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沼垂テラス商店街

これも『クプルムの花嫁』で紹介されていた、古い市場を再生した商店街。
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彌彦神社から戻って、17時過ぎの遅い目の時間に行ったので、ほとんどの店が閉まっていたのが残念。しかしお目当ての猫の店で、ねこ焼きや箸置きを買う事ができました。
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イタリアン『みかづき』

イタリアンは、焼きそばにミートソースを掛けたもので、新潟県民のソウルフードだそうです。宿近くにある「みかづき」で食べました。
たこ焼きかフライドポテトを付けて食べる事が多いとか。私たちもそれにならって…
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レストラン『禅』

メイン会場の16階にある、定食中心のレストラン。予約しておけば、座禅もできるそうです。ランチには「タニタ食堂の日替りヘルシー定食」が提供されます。

日替りヘルシー定食は880円(日曜日は1320円)で、会場から一番近いレストランなので、映画祭には便利です。でも「20分以上掛けて、ゆっくり食べてくださいね」と言われるので、プログラム間の時間が短い時は、ちょっと慌ただしいかも。
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晴れていれば佐渡島、弥彦山など、新潟平野を一望できます。
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農家の息子がつくる食堂 さんかくとまる

19日の夕食に、新潟県民のソウルフルード『バスセンターのカレー』を食べに行こうとしたところ、あいにく既に売り切れ。代わりに、隣の万代シティ2階にある、フードコートのお店。新潟の郷土料理、きりざいと、具だくさんの味噌汁のセットをいただきました。
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万代そば

万代バスセンターの1階にある、立食いそばのお店。でも『バスセンターのカレー』、『黄色いカレー』で有名。20日の昼食にリベンジです。

ちょうどお昼時に行った事もあって、店の前には長蛇の列。15分ほど並んで受け取り、テーブルが一杯なので、ベンチに座って食べます。
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食べてみると、タマネギたっぷりの、昔ながらのカレー。普通サイズ(530円)を頼みましたが、ちょうど半分食べたところで『ミニサイズにしておけば良かった』 とにかく盛りが良いのです。食べてみたい方はご注意。
Niigata_202303202_curry2 福神漬けは、自動的に載ってきます。

らーちゃん家

万代バスセンター(万代そばの隣)と、会場近くにあるラーメン屋。匂いからして魚系のスープだろうと思っていましたが、食べてみるとはやりそうでした。
ラーメンとチャーハンのセット(880円)が基本で、ラーメンはあっさり、チャーハンもパラパラで美味しいです。
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タレカツ丼『とんかつ太郎』

新潟ご当地カツ丼の『タレカツ丼』を、発祥の『とんかつ太郎』で食べました。
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丼飯の上に、薄いカツが山盛りに載っています。食べてみると、何か覚えのある味。そう、あの「ぽたぽた焼き」の、砂糖醤油味のカツ丼なのです。
ひたすらご飯と、甘い目のカツなので、後半は備え付けてある辛子を付けながら食べる方がよさそう。
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新潟への行き帰りの事を書くのを忘れていました。もう1回やります。

新潟国際アニメーション映画祭(その4・まとめ編)

新潟国際アニメーション映画祭。
各プログラムの参加報告を終えて、次は映画祭全体について感想・評価をまとめてみたいと思います。

 

映画祭の目的・狙い

私は広島国際アニメーションフェスティバルの第1回から参加してきたので、映画祭とはああ言うものと言う感覚がありましたが、今回の新潟では、色々と違いを感じました。

もちろん映画祭には色々あるわけですが、その目的となる要素を分類すると、以下のようになるのではないかと思います。

1.制作者・作家に、作品の発表の場を与える。
2.新しい作家を発掘し、育成する。
3.作家やファンが集い、交流する
4.作品や作家をPRする
5.作品の配給先・上映先を見つける

広島国際アニメーションフェスティバルは1・2・3の要素が強く、アマチュア的、アカデミー的な性格が強かったのに対し、新潟国際アニメーション映画祭は4・5の要素が強く、プロフェッショナル的な性格が強いように思います。

それは上映会場の配置を見ても、IDパスを持った関係者席が広く設けられ、一般観客席はどちらかと言うとおまけ的な扱いだったのからも分かります。

アマチュアや学生でも挑戦できる短編作品と違って、長編作品はどうしても商業ベースが前提になりますので、それは正しい事でしょうし、ファンとしてもまた違った楽しみ方ができたと思います。


会場

『新潟市民プラザ』は映画祭のメイン会場で、新潟駅から万代大橋を渡り、歩いて約30分弱。新潟市の旧繁華街・銀行街にある NEXT21と言うビルの6階にあるホールです。
スクリーンは大きく、音響も良かったのですが、多目的ホールゆえ格納式の階段式客席で、とにかく椅子が中途半端。一般席の一番前を取っていたのですが、スクリーンがかなり高くにある事もあって、腰やお尻への負担が大きく、そこで長編を見るというのはかなりの難行苦行でした。
最終日は空きがあった後方の座席に移動してみたのですが、スクリーンとの高さが小さくなる分、姿勢にも無理がなくなり、比較的楽に見る事ができました。次回は後方寄りの座席がお勧めです。

同じくコンペティション部門の作品が上映された『クロスパル新潟』は、メイン会場から歩いて7~8分の所にあります。映画館かと思っていたら、生涯学習施設のホールでした。
座席は良いのですが、スクリーンが小さく、音響もやや貧弱。遮光がもう一つなのが気になりました。市民プラザとの比較で、上映環境を取るか、長時間の座り心地を取るかは悩むところです。

トーク会場の『新潟日報メディアシップ』は、メイン会場から万代大橋を渡って、歩いて20分くらいの所。『古町ルフル広場』は、メイン会場向かいのビルの前にある広場。どちらもオープンスペースなので、音響的にやや聞き取りにくい事がありました。また『古町ルフル広場』は幹線道路沿いなので、車やバスの音が賑やかなのが難点。

レトロスペクティブ部門の作品や、オールナイト上映が行われた『新潟シネウインド』と『T・ジョイ新潟万代』は、いずれも映画館ですが、そこでの上映には行かなかったので、様子は分かりません。

分散した会場での開催だったので、溜まり場的な場所があると良かったなと思います。例えばメイン会場入口の展示スペースに椅子やテーブルが置いてあって、一般観客のみならず、作家さんや関係者が、次の上映やイベントまでの時間を潰す。そして情報交換や交流ができる場所があったら、ただ見て終わりの映画祭にはならないのですが…。

あと会場間の移動は歩きかバスと言う事になりますが、バスの利用は、外来者にはわかりにくいところがあります。利用できる系統番号、下りるバス停の名前、整理券を取るのか、運賃の支払いは先か後かなど、詳しい案内があれば良かったと思います。


プログラム

長編の上映ですし、会場が分散しているので、広島国際アニメーションフェスティバルのように上映の途中で抜けて、別のプログラムを渡り歩くというのは無理です。またプログラムとプログラムとの間の時間があまりないので、食事や移動にも余裕がありません。予めどの作品をどこで見て、食事はここでと言うのを決めておかないとならず、見る側にとっては自由度の少ないプログラムでした。

あと、フォーラムにも面白そうなプログラムがありましたが、残念ながら上映と被っていて、ほとんど参加できませんでした。

チケット

一日券や通し券はなく、全て1プログラム単位の座席指定制です。第1回と言う事もあり、混雑するかなと思っていたので、予め全てチケットを押さえていたのですが、現地へ行ってみると『あのプログラムや良いよ』と言う情報が入ったり、急遽開催のイベントがあったりで、前売りではなく当日購入の方が良かったかなと思ったのでした。

表彰

審査員と一般観客とでは、評価の基準が全然違うので、観客が賞を上げたい作品と実際の受賞作が異なるのは、広島国際アニメーションフェスティバルでも毎回あった事。それだけに次回からは、新潟でも観客賞を創設していただきたいと、強く思います。

運営

初めての開催ですから、ぎこちない部分もありましたが、スタッフの皆さんは一所懸命に、運営に当たっていただいていました。
会場ではフルカラーの日報が配られていたのも素晴らしい。コンペ作品の星取り表はなかなか面白いものでした。
ただ先にも書いたとおり、プロフェッショナル要素の強い映画祭のためか、一般参加者に取っては、やや「放ったらかし感」も感じる運営でした。


最後は「観光・食べ歩き編」で締めますね(笑)

新潟国際アニメーション映画祭(その3)

新潟国際アニメーション映画祭、最終日6日目の参加報告です。
(2日目・3日目はこちら、4日目・5日目はこちら

6日目(3月22日)

前日までにコンペティション作品は全部見終わったので、この日は世界の潮流部門の2作品。

世界の潮流部門
新封神演義・楊戩
監督:Zhao Ji  (2022年、中国)
これが現代の中国長編アニメーションか。実写と見紛うばかりの、完璧なCGが素晴らしい!
でも物語が次々展開し、新しいキャラや技がもの凄い勢いで出て来て、見る方は付いて行けません。
日本のテレビアニメで言えば、2クール分位を2時間に詰め込んだ感じ。
お腹一杯になりました。

世界の潮流部門
手をなくした少女
監督:Sébastien Laudenbach (2016年、フランス)
アートアニメーションの文法で作られた、90分の作品。
興行的にはどうだったのだろう?と、心配になります。
でもこう言う作品を商業ベースで制作できる、フランスの環境も凄いと思います。
 

当初は授賞式まで見ようと思っていたのですが、30分の授賞式+アニソンライブには
どうもそそられないので、ここで切り上げて帰宅となりました。

次は、映画祭全体をちょっとまとめてみます。

2023年3月24日 (金)

新潟国際アニメーション映画祭(その2)

新潟国際アニメーション映画祭、4日目と5日目の参加報告です。
(2日目、3日目はこちら

 

4日目(3月20日)

コンペティション部門
オパール
監督:Alain Bidard [2021年、マルティニーク(フランス)]
マルティニークというのは聞いた事がなかったですが、カリブ海に浮かぶ島で、フランスの海外県だそうです。
重たいテーマを扱った作品。最後の最後で、訳が分かる。

フォーラム
海外における日本のマンガ・アニメの価値づけの状況
この日の予定は2プログラムだけだったので、次の上映までの時間に、ちょっと覗いてみました。
大学の講義室で開催されましたが、ほぼ満席の盛況。
プログラムディレクターの数土さんが基調報告的なお話をされている途中で、残念ながら時間切れ。
最後まで話を聞いてみたかったところですが、最初の方だけでもこの映画祭の目的・狙いが
理解できたような気がします。

コンペティション部門
ネズミたちは天国にいる
監督:Denisa Grimmová / Jan Bubeníček (2021年、チェコ/フランス/ポーランド/スロバキア)
キツネとネズミという、天敵同士のバディもの。チェコの人形アニメの伝統は、健在です。

この日の、コンペティション監督のトークは、『オパール』の Alain Bidard監督。
フランスの植民地であるが故の、制作の苦労、課題の発見などについて多くを語ってくれました。
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5日目(3月21日)

この日は予定の上映が午後からだったので、急遽チケットを買って、午前中のイベントに参加しました。
会場はクロスパル新潟。生涯学習センターのホールです。
椅子は市民プラザより相当良いけれど、スクリーンが小さく、遮光も甘いのが難点。

イベント
こま撮りえいが こまねこ 監督トーク付き
合田監督はNHK『どーも君』の作者でもあり、プロデューサーさんと共に、ほぼ掛け合い漫才。
作品作りにプロデューサーって大事だなと言うのを再確認しました。
終了後に「プロデューサーが監督をアニメートしているみたいですね」と声を掛けたら、
「なかなか動かなくて、アニメートするのが大変です」と返ってきました。
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市民プラザに戻って、午後の上映。

コンペティション部門
劇場版ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン
監督:牧原亮太郎 (2022年、日本)
コンペティション部門で唯一の日本作品。
Netflixで5話に分けて配信している作品の映画版。
かなり悲劇的な内容の物語ですが、映像も音響も素晴らしい。
配信ではなく、大きなスクリーンで音響設備も整った映画館で見るべき作品です。

コンペティション部門
ユニコーン・ウォーズ
監督:Alberto Vázquez (2022年、スペイン/フランス)
かわいいクマさんたちが主役の動物アニメ。ユニコーンや、ウサギ、ネズミなども登場しますが、
それに騙されてはいけない。
写真は、上映前に挨拶したプロデューサーさん(左は通訳さん)
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この日の、コンペティション作品の監督トークは、劇場版『ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン』の牧原監督。
今回はビルの前のオープンスペースが会場のため、前を走るバスや車の音がちょっと騒がしい。
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劇中の歌の歌詞には意味があるのか? 架空の言葉ではないのか?と質問したら、
ちゃんと歌詞に意味があって、ラテン語で歌っていたそうです。

(続く)

2023年3月23日 (木)

新潟国際アニメーション映画祭(その1)

2023年3月17日から22日まで開催された『新潟国際アニメーション映画祭』に行ってきました。

目標は、「コンペティション作品は全部見る」 2日目から最終日の午後まで、作品を見ました。
上映会場は、メイン会場の新潟市民プラザでしたが、座席が収納式階段座席のため、座面や背もたれの角度が良くなく、しかも前の座席ではスクリーンがかなり上にあるため、腰やお尻にかなり負担が掛かりました。但し画質や音響は良好!
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2日目(3月18日)

長編コンペティション部門
四つの悪夢
監督:Rosto (2020年、オランダ/フランス)
一番最初から、なかなかの映像を見せてもらいました。ハードロックに乗せて、結構おどろおどろしい映像が展開する。でも監督は芸術家、音楽家であり映像監督であると言う事で、結構面白く見る事ができました。

長編コンペティション部門
森での出来事
監督:Eric Power (2021年、アメリカ)
紙の質感を生かした切紙アニメ。主人公が、あまり考える事なく一歩を踏み出してしまって、それで物語が展開して行く。日米の文化の違いを考えさせられる作品でもありました。

長編コンペティション部門
カムサ・忘却の井戸
監督:Vinom (2022年、アルジェリア)
アルジェリア初の長編アニメーション作品。輪廻を断ち切ろうとしていたと思ったらそうでなかったり、味方だと思っていたら…と、日本人の感覚では?も多かったけど、映像は綺麗でした。
ただ、ちょっと長すぎ。3割くらい切り詰めたら、物語もよく分かって、見やすい作品になったのでは?

イベント
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』 片渕監督トーク付き
注意事項が「スクリーンに投影されるパソコン画面だけは撮影禁止」だけだったのは、こう言うイベントとしては珍しい。
次回作についての話が主になるかと思いましたが、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の話が中心でした。
最初はトークショーの後に上映と聞こえていましたが、急遽上映を先に変更。そりゃそうですな。トークショーだけで帰ってしまう人が続出しそうだから。

終了は23時近くで、宿がすぐ近く(歩いて3分ほど)で良かったです。

3日目(3月19日)

長編コンペティション部門
愛しのクノール
監督:Mascha Halberstad (2022年、オランダ)
子豚を中心にしたドタバタコメディ。オナラとウンチという、小さな子供が喜ぶネタが満載。話もよくまとまっています。日本での劇場公開が決定したそうです。

世界の潮流部門
明るいほうへ 7作品
監督:陳 晨/趙 易/蘭 茜雅/兪 昆/劉 毛寧/李 念澤/劉 高翔 (2021年、中国)
絵本を元に、現代中国の「愛」をテーマに描く、7作品の短編のオムニバス。こう言う形で公開するのはともかく、長編の映画祭に応募するのはちょっと違うんじゃないか、個別の短編作品として映画祭に出した方が良いんじゃないかと思いました。

長編コンペティション部門
プチ・ニコラ パリがくれた幸せ
監督:Amandine Fredon / Benjamin Massoubre  (2022年、フランス)
元のペン画に淡い色彩を付けて、上手くアニメートしている。なんか見た画だなと思ったら、後の監督トークで『となりの山田くん』の影響を受けてます、と。これも国内での公開が決定したそうです。私としては、グランプリを授与したかった作品。

長編コンペティション部門
めくらやなぎと眠る女
監督:Pierre Földes (2022年、フランス/カナダ/オランダ/ルクセンブルク)
村上春樹の、いくつかの短編小説を元に、東日本大震災直後の東京を舞台に描いた作品。本国では、上映当日が封切りだったとかで、監督さんの代わりにプロデューサーさんが来場していました。
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上映が済んだら、万代橋を渡って、新潟日報メディアシップに移動。『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』の、Amandine Fredon監督と Benjamin Massoubre 監督のトークイベントに参加です。
入場無料なのに、観客は30名くらいか。会場を分散しているので仕方ないけど、ちょっともったいない感じ。
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(続く)

2023年3月 6日 (月)

自動空気ブレーキと制御弁⑬ B動作弁

自動空気ブレーキと制御弁、第13回目は、試作のみに終わった貨車用 B動作弁について解説します。

 

B動作弁

【概要・開発】 ※17

1928(昭和8年)年より貨車に本格導入されたK三動弁であるが、急ブレーキ作用が不確実、編成前後でのブレーキのタイミングずれによる大きな衝動の発生、緩解不良など少なからぬ不具合があり、これに代わるものとして1935年(昭和10年)2月より開発が開始された、貨車用の制御弁。

100両編成の貨物列車用として、組み合わせるUブレーキシリンダと共に完成し、性能試験までは行われたようであるが、その後戦時体制への移行に伴い、実用化される事なく終わった。

K三動弁・A動作弁の不具合点を改善すべく開発された制御弁と言えるが、実用化が中止されたのは、ゴムなどの資材の統制などによるものだけでなく、鉄道省内部から、当時の貨車用としては性能が過剰である、調達価格が高くなるなどの意見が強かった事もあったのではないかと思われる。

これによりK三動弁は、1992年(平成4年)にEA1制御弁を使ったCSD空気ブレーキ装置が採用されるまで、種々の問題を抱えながらも約60年間にわたって使い続けられる事になった。

但しこの弁の開発経験は、その後の膜板式制御弁に開発に生かされたものと思われる。

【構造・作用】 ※17

A動作弁の基本設計を元にした二圧式制御弁で、釣合滑り弁以外の弁は膜板(布入りゴム板)化している。

特長としては、

・常用ブレーキ後に非常ブレーキを掛ける事が可能(K)
・常用ブレーキ中に意図しない非常ブレーキは掛からない(A)
・常用・非常ブレーキには衝動が起こらない(K・A)
・ブレーキ・弛め作用が確実(K)
・込めは列車の前後部とも、迅速で確実(K)
・ブレーキシリンダの大きさにかかわらず、同一の弁を使用可能(K)
・釣合ピストン以外の弁を膜板化したため気密が良く、摺り合わせの手間を省ける(K・A)
・各弁の動く方向を枕木方向としてあり、列車の前後衝動が弁の動作に影響しない(K・A)
・釣合滑り弁は抵抗バネを持ち、ブレーキ管圧力の波動による盲動を抑制している(K・A)
・弁本体に配管を取り付けず、弁の着脱が容易(K)
・補助・付加・急動の3空気溜を一体化し、鋼板溶接構造としたため、小型軽量(約 23 kg)(K・A)

などで、(K)(A)はそれぞれ、K三動弁・A動作弁に対する(設計上の)改善点を示す。

【適用ブレーキ方式と車種】

(1) 貨車

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B動作弁とUブレーキシリンダを組み合わせた、一般貨車用空気ブレーキ装置。

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